園や公園で、ほかの子どもたちが一緒に遊ぶなか、自分の子どもだけが一人で遊んでいる。
そんな姿を見ると、「友達がいないのでは」「社会性が育っていないのでは」と心配になることがあります。
けれども、一人で遊んでいるという事実だけでは、その子が困っているのか、友達を必要としていないのか、関わりたいけれど入れないのかは分かりません。
大切なのは、遊びの形だけでなく、そのときの表情や遊びの内容、周囲への関心、場面による違いまで含めて見ることです。
この記事では、ひとり遊びから協同遊びまでの違いを整理しながら、子どもの姿を年齢だけで決めつけずに読みとくための視点を紹介します。
この記事で分かること
- 一人で遊ぶことが、すぐに心配とは限らない理由
- ひとり遊び・並行遊び・協同遊びなどの違い
- 年齢だけでは判断できない、子どもの姿を見るポイント
- 大人が関わりを急がず、必要なきっかけをつくる方法
- 相談を検討するときの考え方
一人で遊ぶこと自体は、すぐに心配と決まらない
ひとり遊びには、自分の関心に沿ってじっくり試したり、イメージを広げたりできる時間としての意味があります。
積み木を何度も組み直す、虫を長く観察する、同じ人形遊びを繰り返すといった姿は、その子なりの目的をもった遊びかもしれません。
遊びは、ひとりから集団へ一方向に進むのではなく、物の扱い方、想像、身体の動き、人との関わりが重なりながら変化します。
0~6歳の全体像は、遊びの発達で詳しく整理しています。
一方で、同じように一人でいるように見えても、友達の遊びを気にしながら近くで見ていることもあれば、入りたいのに声をかけられないこともあります。
仲間に入れてもらえず、仕方なく一人でいる場合もあります。
そのため、「一人でいる=社会性が低い」と結びつけるのではなく、本人がその時間を楽しんでいるか、ほかの子への関心があるか、困りごとが隠れていないかを見る必要があります。
ひとり遊び・並行遊び・協同遊びとは
幼児の遊びの研究では、子どもが周囲とどのように関わっているかをいくつかの形に分けて捉えてきました。
Parten(1932)は、保育場面の観察から、何もせずにいる状態、ひとり遊び、傍観、並行遊び、連合遊び、協同遊びなどを区別しました。
ただし、これらは「必ずこの順番で卒業する段階」ではありません。
子どもは遊びの内容、相手、場所、疲れ具合などによって、一日のなかでも複数の形を行き来します。
ひとり遊び
ほかの子どもとは別に、自分の遊びに取り組んでいる状態です。
集中して物を作る、感触を確かめる、空想の世界を展開するといった遊びが含まれます。
ひとり遊びは、必ずしも周囲への無関心を意味しません。
近くの子の動きを見たり、声を聞いたりしながら、自分の遊びを続けていることもあります。
傍観
自分から遊びには入らず、ほかの子どもの遊びを見ている状態です。
遊び方や人間関係を理解しようとしていることもあれば、入りたいけれどためらっていることもあります。
見ることは、何もしていないことと同じではありません。
ただし、本人が不安そうに長く立ち続けている、入りたそうなのに何度も諦めるといった姿があれば、さりげない支えが役立つことがあります。
並行遊び
ほかの子どもの近くで、似た遊具や素材を使いながら、それぞれが自分の遊びをしている状態です。
直接のやり取りが少なくても、互いの動きを意識し、まねたり刺激を受けたりすることがあります。
32~42か月の子ども41人を観察した研究では、並行遊びから集団遊びへの移行が偶然より多く見られ、並行遊びが関わりへの足場になりうると示されました(Bakeman & Brownlee, 1980)。
また、4歳児167人の研究では、周囲を意識した並行遊びが、協同的な遊びや傍観などとの間を双方向に行き来する「交差点」のような役割をもつと報告されています(Robinson et al., 2003)。
連合遊び
子ども同士で会話したり、物を貸し借りしたりしながら遊びますが、全員で共通の目標や役割を共有しているとは限らない状態です。
たとえば、同じテーブルで粘土を使い、作品を見せ合いながら、それぞれ別の物を作る場面が当てはまります。
協同遊び
役割や目的を共有し、相談しながら一緒に進める遊びです。お店屋さんごっこで役を決める、みんなで一つの建物を作るといった姿が例になります。
協同遊びが見られることは大切な育ちの一つですが、いつでも誰とでも協同遊びをすることが、望ましい姿の唯一の基準ではありません。
遊び方は年齢だけでは決まらない
年齢が上がるにつれて集団での遊びが増える傾向はありますが、遊びの形は一直線には変化しません。
2~4歳頃の子ども48人を9か月追跡した研究では、全体として集団遊びは増え、ひとり遊びは減りましたが、並行遊びは大きく変わりませんでした。
年少の一部には一定の順序が見られた一方、多くの子どもは一つの順序には当てはまらず、3~4歳でも集団遊びとひとり遊びを行き来していました(Smith, 1978)。
0~1歳頃
身近な大人との安定したやり取りや、物に触れて確かめる経験が生活の中心です。
この時期は、同年代の子どもと共通の目的をもって遊べるかどうかを、発達を見る中心的な基準にする時期ではありません。
近くにいる子どもを見つめる、声に反応する、同じ物へ手を伸ばすといった姿も、他者への関心の表れです。
2~3歳頃
自分のしたい遊びを楽しみながら、近くの子どもの行動をまねたり、同じ物を使いたがったりする姿が増えてきます。
やり取りが短く途切れても、関係が育っていないとは限りません。
「一緒に遊ぶ」よりも、同じ場所で似たことをする並行遊びが多く見られる時期でもあります。
ただし、個人差や場面差は大きくあります。
4~6歳頃
イメージや役割、簡単なルールを共有する遊びが広がります。一方で、好きな制作や探索には一人で集中したい子もいます。
仲のよい相手や慣れた場所では一緒に遊び、初めての集団では様子を見ることもあります。
年齢だけで「もう協同遊びができるはず」と考えるより、何をしているときに、誰と、どのように関わるのかを見るほうが、子どもの実際の姿に近づけます。
同じ「一人で遊ぶ」でも背景は異なる
研究では、一人でいる行動の背景を分けて捉える必要性が指摘されています。
4歳児48人を観察した研究では、一人でいる姿を、ためらいを伴う状態、物を構成・探索するひとり遊び、活動的なひとり遊びに分けて検討しました。
ためらいを伴う状態は、不安そうに周囲をうかがう姿などと関連していましたが、構成・探索するひとり遊びや活動的なひとり遊びは、同じ関連を示しませんでした(Coplan et al., 1994)。
また、平均4歳半の子ども72人を観察した研究では、一人でいる姿を同様に分けて検討した結果、活動的なひとり遊びは発散的思考とより強い正の関連を示しました(Lloyd & Howe, 2003)。
ただし、これは同じ時点での関連を調べた研究であり、ひとり遊びが発散的思考を高めたと因果関係まで示すものではありません。
3~5歳児を対象とした二つの標本の研究では、人と関わりたい気持ちはあるが不安やためらいが強い状態と、関わりへの動機が比較的弱い状態は、異なる関連を示しました(Coplan et al., 2004)。
外から見える「一人」という形だけでは、子どもの気持ちは判断できないということです。
一人の遊びを楽しみ、満足している
表情が穏やかで、遊びが続き、自分なりに工夫しているなら、その時間を守ることも大切です。無理に「友達と遊んでおいで」と切り替えさせる必要はありません。
ほかの子の遊びに関心をもち、見ている
見る、近づく、同じ物を選ぶといった行動は、関わりへ向かう途中かもしれません。子どもが自分のタイミングで近づけるよう、急かさず待ちます。
一緒に遊びたいが、入り方が分からない
遊びの輪の近くを行き来する、声をかけようとしてやめる、大人に何度も助けを求めるといった姿が見られることがあります。
この場合は、短い言葉や具体的な役割が手がかりになります。
仲間に入れてもらえず、一人になっている
断られる場面が続く、からかわれる、遊具をいつも取られるなど、周囲との関係が影響している場合もあります。
本人の性格や努力の問題にせず、保育者や教員と場面を共有し、環境や集団の関わり方を確認します。
音や人数の多さで疲れ、一人になっている
にぎやかな場所で疲れやすく、静かな場所で気持ちを整えていることもあります。
一人になる時間が、その子にとって安心を取り戻す方法になっている可能性もあります。
子どもの姿を見るときの手がかり
一回の場面だけで判断せず、次の点を組み合わせて見ます。
- 一人でいるときの表情は穏やかか、不安そうか
- 遊びに集中し、満足して終えられているか
- ほかの子の遊びを見たり、近づいたりすることはあるか
- 家、園、公園など、場所によって姿が変わるか
- 特定の相手とはやり取りできるか
- 本人が「一人がいい」と感じているのか、「入りたいのに入れない」と困っているのか
- 仲間外れやからかいなど、周囲の状況がないか
- 一人でいる状態が長く続き、遊び以外の生活にも困りごとが広がっていないか
ここで挙げた点は、子どもを判定するためのチェックリストではありません。
本人の経験を理解するための観察の手がかりです。
大人が友達関係を急がせないために
大人が心配すると、「一緒に遊びなさい」「友達を作りなさい」と促したくなることがあります。
しかし、友達の人数や集団遊びの多さだけを目標にすると、子どもが安心して遊ぶ時間や自分のペースが失われることがあります。
まずは、子どもが今している遊びを言葉にして認めます。
「高く積んでいるんだね」
「ここを何度も試しているんだね」
そのうえで、ほかの子への関心が見られたときに、入り口を小さく用意します。
一人で遊ぶ時間を守ることと、関わる機会を閉ざさないことは両立できます。
文部科学省の「幼稚園教育要領」は、幼児期の教育で自発的な活動としての遊びを中心にし、一人ひとりの発達の特性に応じることを重視しています。
「保育所保育指針」も、子どもの発達過程や個人差を踏まえ、主体的に関われる環境を通して人との関係を育てることを示しています。
大人が決めた一つの遊び方へ急いで合わせるのではなく、子どもの関心と場面に応じて環境を整える視点が大切です。
関わりのきっかけをつくるとき
子どもがほかの子に関心を示しているものの、入り方が分からず困っているようなら、大人は関係を代わりに決めるのではなく、小さな橋渡しができます。
- 同じ素材を複数用意し、近くで遊べるようにする
- 「赤いブロックを一つ渡してみる?」など、短く具体的な行動を示す
- 「駅を作る人を探しているみたい」と、遊びのなかの役割を伝える
- まずは一対一や少人数で関われる場をつくる
- 参加を断られたときは、別の遊びや相手を選べるようにする
- 子どもが「今は見ていたい」「一人で続けたい」と示したら、その選択も尊重する
大人が会話をすべて取り仕切ると、子ども同士のやり取りが生まれにくくなることがあります。
きっかけをつくったあとは少し距離を取り、必要なときだけ支える姿勢が役立ちます。
相談を検討する目安
一人で遊ぶことだけを理由に、発達上の問題があるとは判断できません。また、この記事から診断することもできません。
一方で、本人が友達と関わりたいのに強く苦しんでいる、仲間外れやからかいが続いている、園や家庭など複数の場面で不安や困りごとが長く続く、遊びだけでなく生活全体への参加が難しくなっているといった場合は、一人で抱え込まず相談を検討してよいでしょう。
まずは園の保育者や担任と、いつ、どこで、どのような姿が見られるかを共有します。
必要に応じて、小児科、地域の子育て相談窓口、発達相談などにつなげる方法もあります。
窓口の名称や設置状況は自治体によって異なるため、市区町村の公式サイトで確認してください。
研究結果を日本の子どもに当てはめるときの注意点
この記事で紹介した海外研究の多くは、北米の保育・研究環境で実施されたものです。
対象となった子どもの人数や観察場面にも限りがあります。
遊び方や、大人が子どもに期待する対人行動は、文化、園の方針、集団構成、遊具や空間によって変わります。
研究結果を日本のすべての子どもへ一律に当てはめるのではなく、日本の幼児教育・保育の考え方と、目の前の子どもの姿を合わせて捉えることが必要です。
まとめ
子どもが友達と遊ばず一人でいる姿は、それだけで社会性の不足や孤立を意味するものではありません。
ひとり遊び、傍観、並行遊び、連合遊び、協同遊びは、一方向の段階として入れ替わるのではなく、年齢、遊びの内容、相手、環境、その日の状態によって共存し、行き来します。
大切なのは、「一人か、集団か」だけで判断せず、本人が満たされているか、ほかの子に関心があるか、関わりたいのに困っていないか、排除されていないかを見ることです。
一人で集中する時間を守りながら、必要なときに小さな関わりの入り口を用意する。その両方が、子どもの自分らしい育ちを支えます。
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参考文献・公的資料
- Parten, M. B.(1932)Social participation among pre-school children. Journal of Abnormal and Social Psychology, 27(3), 243–269. DOI
- Smith, P. K.(1978)A longitudinal study of social participation in preschool children: Solitary and parallel play reexamined. Developmental Psychology, 14(5), 517–523. DOI
- Bakeman, R., & Brownlee, J. R.(1980)The strategic use of parallel play: A sequential analysis. Child Development, 51(3), 873–878. DOI
- Robinson, C. C., Anderson, G. T., Porter, C. L., Hart, C. H., & Wouden-Miller, M.(2003)Sequential transition patterns of preschoolers’ social interactions during child-initiated play: Is parallel-aware play a bidirectional bridge to other play states? Early Childhood Research Quarterly, 18(1), 3–21. 掲載ページ
- Coplan, R. J., Rubin, K. H., Fox, N. A., Calkins, S. D., & Stewart, S. L.(1994)Being alone, playing alone, and acting alone: Distinguishing among reticence and passive and active solitude in young children. Child Development, 65(1), 129–137. PubMed
- Lloyd, B., & Howe, N.(2003)Solitary play and convergent and divergent thinking skills in preschool children. Early Childhood Research Quarterly, 18(1), 22–41. DOI
- Coplan, R. J., Prakash, K., O’Neil, K., & Armer, M.(2004)Do you “want” to play? Distinguishing between conflicted shyness and social disinterest in early childhood. Developmental Psychology, 40(2), 244–258. PubMed
- Rubin, K. H., Coplan, R. J., & Bowker, J. C.(2009)Social withdrawal in childhood. Annual Review of Psychology, 60, 141–171. DOI
- 文部科学省(2017)幼稚園教育要領. PDF
- 厚生労働省(2017)保育所保育指針. PDF