共同制作をしながら遊びのルールを相談する5~6歳の子どもたちのクレヨン画

子どもの発達

5〜6歳児の発達の特徴とは?就学前に育つ力を考える

5~6歳になると、小学校入学が近づき、「ひらがなは書けた方がよい?」「じっと座って話を聞けないと困る?」「友達と仲良くできている?」と気になることが増えてきます。

しかし、就学前の育ちは、できることの数だけで捉えられるものではありません。

この時期には、言葉で考える、先を見通す、気持ちを調整する、相手の考えを知る、友達と相談する、体を使って試すといった力が、遊びや生活の中で結び付いていきます。どの力も5~6歳で完成するわけではなく、相手や場面、その日の心身の状態によって表れ方が変わります。

この記事では、5~6歳頃に見られる発達の特徴と、就学前に大切にしたい経験を、国内の公的資料と発達研究から考えます。


この記事で分かること

  • 5~6歳頃に見られる発達の主な特徴
  • 見通し、切り替え、感情調整などの力がどのように育つか
  • 友達との協力やルールづくりに必要な力
  • 文字や数への関心と、先取り学習の違い
  • 就学前の育ちを「できる・できない」で判断しないための見方

5~6歳は、複数の力が結び付いていく時期

5~6歳頃には、それまでに育ってきた言葉、思考、運動、感情、社会性などの力を、同時に使う場面が増えていきます。

たとえば、友達と大きな建物を作る遊びでは、作りたいものを言葉で伝えるだけではありません。
必要な材料を考え、役割を相談し、途中で崩れたら方法を変え、意見が合わなければ折り合いを探します。

一つの遊びの中で、次のような力が重なっています。

  • 自分の考えを言葉で表す
  • 相手の話を聞く
  • 目的や手順を頭に置く
  • すぐに思い通りにならなくても取り組む
  • 違う方法を試す
  • 体や手指を使って表現する
  • 必要に応じて大人や友達に助けを求める

文部科学省の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」も、これらを個別の能力として切り離していません。幼児期の終わりに見られる育ちは、遊びや生活全体を通して、複数の力が一体となって表れるものとされています。

また、これらの姿は、5歳になったときに突然現れるものでも、すべての子どもに同じ形で現れるものでもありません。
生まれ月、これまでの経験、興味、気質、使用する言葉、集団の大きさなどによっても違いがあります。

5~6歳という年齢だけを基準に、「これができるはず」と判断しないことが大切です。

経験や考えを、言葉で伝え合う力が育つ

5~6歳頃には、経験したことを以前より長く話したり、「どうしてそう思ったのか」「次はどうしたいのか」を言葉で説明したりする姿が増えていきます。

言葉は、知っている単語の数や発音だけではなく、考えるための道具にもなります。

「最初にこっちを作って、それから屋根を乗せよう」

「そのルールだと小さい子ができないから、少し変えよう」

「昨日は失敗したから、今日は違う材料にしたい」

このようなやりとりには、過去の経験を思い出し、今の状況と結び付け、相手に分かるように表現する力が含まれています。

一方で、言葉で十分に説明できることと、いつでも落ち着いて話せることは同じではありません。
強く腹を立てているときや、急に質問されたとき、大勢から注目されているときには、普段より言葉が出にくくなることがあります。

また、家庭と園で使う言葉が異なる子どもや、相手によって話し方が変わる子どももいます。
一つの場面での発言量だけでは、子どもの言葉や思考の育ちを十分に判断できません。

話の上手さだけを見るのではなく、相手に伝えようとしているか、分からないときに聞き返せるか、友達の考えに触れて自分の考えを変えられるかといった過程も大切です。

こうした就学前の姿までを含む言葉の発達の流れは、「0~6歳の言語発達」で詳しく解説しています。

見通しをもち、試し、方法を変える力

目的に向かって行動するときには、実行機能と呼ばれる働きが関係しています。

実行機能には、主に次のような働きが含まれます。

  • 必要な情報や手順を一時的に頭に置く
  • 目の前の欲求や行動をいったん止める
  • 状況に合わせて考え方や方法を切り替える

たとえば、「先に片付けてから外へ行く」という手順を覚えて行動するには、次にすることを頭に置く力が必要です。
遊びで使いたい物を友達が持っているとき、すぐに取らずに言葉で伝えるには、行動をいったん止める力が関係します。

作ったものがうまく動かないとき、「もうだめ」と終わらず、材料や方法を変えることには、考え方を切り替える力が使われています。

実行機能は幼児期に大きく発達します。
幼児期の実行機能や自己調整と、その後の学習、友達関係、集団での行動との間には、複数の研究で関連が報告されています。

ただし、この関連は「幼児期に我慢できた子は必ず将来成功する」という意味ではありません。
2024年に公表された158研究、合計144,642人のメタ分析でも、実行機能と社会・行動面との関連はおおむね小~中程度で、多くは因果関係を証明する研究ではないとされています。

実行機能は、子どもの中に固定された能力でもありません。
課題の難しさ、疲れ、空腹、緊張、周囲の騒がしさ、大人の伝え方などによって、使いやすさが変わります。

そのため、「何度言ってもできない」と評価する前に、次の予定を絵や物で示す、手順を短く区切る、始めるきっかけを一緒に作るなど、力を使いやすい環境を考える必要があります。

抑制、ワーキングメモリ、認知的柔軟性という実行機能の基本的な働きと幼児期の発達については、「実行機能とは?考える・待つ・切り替える力の育ち」で詳しく整理しています。

友達と目的を共有し、遊びをつくる

5~6歳頃には、友達と共通の目的をもち、ある程度長く遊びを続ける姿が増えていきます。

一緒に劇を作る、店を開く、大きな制作物を完成させる、チームでゲームを進めるなど、複数の子どもが考えを持ち寄る遊びも見られます。

しかし、友達と協力するためには、単に「仲良くしよう」と言われるだけでは足りません。

  • 自分の考えを伝える
  • 相手の提案を聞く
  • 目的を共有する
  • 役割を分ける
  • 違う意見があることに気付く
  • 必要に応じて計画を変える
  • 途中で起きた問題を話し合う

こうした複数の力が必要です。

4~7歳を対象とした協働に関するシステマティックレビューでは、友達と取り組むことが、問題解決やルールに基づく思考などに短期的な利益をもたらす場合が報告されています。
一方、すべての課題で効果が確認されたわけではなく、長期的な効果も十分には分かっていません。

「友達と一緒なら何でもよく学べる」とは限らないのです。
相手との関係、課題の難しさ、話し合える環境、大人の支え方などによって結果は変わります。

また、5~6歳になっても、一人でじっくり遊ぶ時間には意味があります。
いつも友達と遊んでいることを、社会性の唯一の目安にはできません。

一人で取り組みたいとき、友達と一緒に進めたいとき、大人の助けが必要なときなど、活動に応じて関わり方を選べることも育ちの一つです。

ルールを理解することと、いつも守れることは同じではない

ルールのある遊びを楽しみ、友達とルールを確認したり、遊びやすいように作り変えたりする姿も増えていきます。

「順番を守らないと、みんなが遊べない」

「この子は初めてだから、最初は練習にしよう」

「ずっと鬼のままでは嫌だから、3回で交代しよう」

このような相談には、ルールの意味や公平さを考える力が表れています。

ただし、ルールを説明できることと、実際の場面でいつも守れることは別です。

勝ちたい気持ちが強くなったとき、長く待たなければならないとき、ルールが複雑なときには、分かっていても行動を調整できないことがあります。友達によってルールの理解が異なり、衝突が起きる場合もあります。

そのような場面を、単なる「ずる」や「わがまま」と決めつけると、子どもがどこで難しさを感じていたのかが見えにくくなります。

ルールが分かりにくかったのか、見通しがもてなかったのか、感情を止めることが難しかったのか、友達との認識が違っていたのかを分けて考える必要があります。

大人がすぐに正解を決めるのではなく、「どうしたらみんなが続けられるかな」と問いかけることで、子ども同士が理由を考え、ルールを作り直す経験につながることがあります。

感情や行動を調整する力は、人との関係の中で育つ

5~6歳頃には、自分の気持ちに気付き、言葉で伝えたり、落ち着く方法を選んだりする姿が少しずつ増えていきます。

悔しいときにその場を離れる、困ったことを大人に伝える、気持ちが落ち着いてから友達と話すなど、その子なりの方法が見つかることもあります。

しかし、感情調整とは、泣かないことや怒らないことではありません。

強い感情が起こること自体は、失敗ではありません。
大切なのは、感情が生じた後に安全を保ち、必要な助けを得ながら、自分や相手にとって無理の少ない行動へ移れることです。

5~6歳でも、一人では気持ちを整理できない場面があります。
大人が気持ちを言葉にしたり、静かな場所へ移る選択肢を示したりすることで、子どもは少しずつ自分に合った立て直し方を知っていきます。

また、「相手が悲しんでいる」と理解できることと、その場で自分の行動を止められることも同じではありません。

他者の考えを理解する力について、178研究を統合したメタ分析では、年齢とともに成績が上がる傾向が確認されています。
一方で、課題の言葉や質問方法も結果に影響していました。
中国と北米を比較した研究でも、大きな発達の流れには共通性があるものの、変化の時期には文化・言語による違いが示されています。

したがって、「5歳なら相手の気持ちが分かるはず」と年齢だけで判断することはできません。
分かっていることを実際の行動へつなげるには、感情を落ち着ける時間や、相手との関係を調整する大人の支えが必要な場合があります。

体を動かしながら、挑戦や安全への意識が育つ

5~6歳頃には、走る、跳ぶ、投げる、バランスを取るといった動きを、遊びに合わせて組み合わせる姿が増えていきます。

制作では、はさみ、のり、テープ、ひもなどを使い分け、作りたいものに合わせて手指を動かします。
うまくいかなければ持ち方や材料を変えるなど、身体の動きと思考が結び付いていきます。

体を使う育ちは、運動の巧さだけを意味しません。

  • やってみたい動きを選ぶ
  • 何度か試して方法を変える
  • 自分の体の動きや疲れに気付く
  • 周囲の人や物との距離を見る
  • 危険を予測して動きを調整する
  • 必要なときに助けを求める

こうした経験も含まれます。

「縄跳びが何回できる」「速く走れる」といった結果だけで評価すると、挑戦の仕方や工夫の過程が見えにくくなります。

得意な動きと苦手な動きがあること、初めての活動を慎重に観察してから参加する子どもがいることも自然です。
すぐに挑戦する姿だけでなく、安全を確かめたり、友達の方法を見たりしながら、自分なりに参加しようとする姿も見ていく必要があります。

文字・数への関心は、遊びや生活の必要から広がる

5~6歳頃には、文字や数を「覚えるもの」としてだけでなく、生活や遊びに役立つものとして使う姿が増えていきます。

たとえば、店の看板を作る、友達に手紙を書く、ゲームの得点を記録する、必要な材料の数を数える、同じ人数になるように分けるといった姿です。

保育所保育指針では、幼児期の終わりに向かう育ちとして、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」が示されています。
そこでは、文字や数量を一律に教え込むのではなく、遊びや生活の中で役割や必要性に気付き、自ら使っていくことが重視されています。

幼児期の学びを、知識の先取りだけでなく、幼児期の学びと遊び・生活・教育のつながりから捉える考え方については別の記事で詳しく解説しています。

早期リテラシーに関する米国の大規模な研究統合では、文字の知識、言葉の音への気付き、口頭での言語能力などと、後の読み書きとの間に関連が報告されています。

ただし、主に英語圏で行われた研究である点には注意が必要です。
英語と日本語では、文字体系や、音と文字の対応、就学後の学習方法が異なります。
英語圏の就学前指導を、そのまま日本の子どもへ当てはめることはできません。

また、就学時の数学、読み、注意と、その後の学業成績との関連を示した縦断研究もありますが、これは「就学前に計算や読み書きを先取りすれば、将来の成績が上がる」ことを証明したものではありません。

文字や数への関心を支えることと、入学前に一律の範囲を習得させることは分けて考える必要があります。

子どもが「書いてみたい」「数えたら分かりそう」と感じたときに、文字表、紙、筆記具、数字、図形、絵本などを使えるようにすることは、その必要感を支えます。
一方、興味がまだ別のところにある子どもへ、できる量だけを競わせる必要はありません。

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幼児期の文字・数への関心をどう育てる?
教育アプリは幼児の文字・数の学びに役立つ?

就学準備を「できること一覧」で考えない

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、健康な心と体、自立心、協同性、思考力の芽生え、言葉による伝え合いなど、10の視点で整理されています。

ただし、文部科学省は、これらについて次の点を明確にしています。

  • 到達すべき目標ではない
  • 個別に取り出して指導するものではない
  • すべての子どもに同じように見られるものではない
  • 5歳児になって突然現れるものではない

したがって、10の姿を「卒園までに全部できるか」を調べるチェックリストとして使うことは、本来の位置づけと異なります。

なお、次期改訂では、この「10の姿」と育みたい資質・能力、5つの領域との関係を分かりやすく整理する方向が示されています。
詳しくは、次期学習指導要領で幼児教育はどう変わる?で解説しています。

就学準備というと、読み書き、計算、着替え、着席など、子ども側の能力に目が向きやすくなります。
しかし、小学校への移行は、子どもだけが新しい環境へ合わせる過程ではありません。

こども家庭庁の「はじめの100か月の育ちビジョン」では、5歳児から小学校1年生までを重要な接続期として捉えています。
発達は年齢や学年で突然区切られるのではなく、一人ひとり異なるペースで連続的に進むものだからです。

文部科学省の「幼保小の架け橋プログラム」も、園と小学校が子どもの姿や学び方を共有し、教育のつながりを整えることを重視しています。

就学前に大切なのは、「一人で全部できるようにすること」ではありません。
自分の思いや困りごとを伝える、分からないときに聞く、友達や大人の助けを借りる、失敗した後に別の方法を試すといった経験も、就学後の生活につながります。

5~6歳の子どもを見るときの手がかり

他の子どもより、以前の姿との変化を見る

発達の速さや表れ方は一人ひとり異なります。「同じ年齢の子ができているか」だけでなく、その子が以前より何を試すようになったか、どのような助けがあれば取り組めるようになったかを見ます。

結果だけでなく、取り組む過程を見る

完成したか、勝ったか、正しく答えたかだけではなく、考えたこと、工夫したこと、友達と相談したこと、やり直したことにも育ちが表れます。

複数の場面から考える

家庭では話せても集団では言葉が出にくい、好きな遊びでは集中できても一斉活動では難しいなど、場面によって姿が異なることがあります。
一つの場面だけで能力や性格を判断せず、相手、場所、活動、時間帯、心身の状態との関係を見ます。

支えをなくすことだけを自立と考えない

絵や予定表があれば行動できる、友達と一緒なら挑戦できる、大人が最初の手順を示せば続けられるという姿もあります。
自立とは、すべてを一人で行うことだけではありません。必要な支えを使いながら、自分で考えたり選んだりできることも含まれます。

まとめ

5~6歳頃には、言葉、思考、感情、身体の動き、社会性など、それまでに育ってきた力を組み合わせて使う姿が増えていきます。

友達と目的を共有する、ルールを相談する、見通しをもって取り組む、途中で方法を変える、文字や数を遊びに使うといった姿は、その一例です。

ただし、これらは5~6歳で完成させる能力ではありません。
理解できていても感情が大きい場面では行動へ移せないことがあり、環境や大人の支えによって表れ方が変わります。

就学準備で大切なのは、読み書きや我慢を早く完成させることではありません。
安心できる関係と豊かな遊びや生活の中で、考える、伝える、試す、助けを求める、立て直す経験を重ねることです。

目に見える「できたこと」だけでなく、その子がどのように周囲と関わり、自分なりの方法を見つけようとしているかを丁寧に見ていくことが、就学前の育ちを理解する手がかりになります。

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参考文献・出典

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